停電への備えとしてポータブル電源が気になっても、300Wh・500Wh・1000Whなど種類が多く、家族に必要な容量が分かりにくいものです。大切なのは「大容量なら安心」と考えるのではなく、停電中に使いたい機器と時間から必要量を計算することです。
この記事の結論
- 家族3人でスマホ・照明・小型扇風機などを3日間使うなら、1000~1500Whを一つの検討目安にする
- 容量Whだけでなく、家電を動かせる定格出力Wも確認する
- 冷蔵庫・電子レンジ・電気ケトルは、製品ごとの消費電力と起動時電力を確認する
- 持ち運べるソーラーパネルは再充電に役立つが、天候・影・設置条件で発電量が変わる
- 高温・水濡れ・衝撃を避け、リコール情報を定期的に確認する

防災にポータブル電源は本当に必要?
ポータブル電源は、停電中もスマートフォン、LED照明、小型扇風機、ラジオなどへ電気を供給できる充電式の大型バッテリーです。情報収集、連絡、夜間の安全、暑さ・寒さ対策を補助できます。
ただし、水・食料・非常用トイレの代わりにはなりません。予算が限られる場合は、まず基本備蓄と小型のモバイルバッテリーを整え、その後に必要性を判断します。
水・食料・トイレを含む備蓄全体を確認在宅避難に必要なものは?家族人数別・7日分の備蓄リスト →
容量Wh・出力W・充電Wの違い
| 表示 | 意味 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 容量 Wh | 蓄えられる電気量 | 何時間・何回使えるかに関係する |
| 定格出力 W | 継続して出せる電力 | 家電の消費電力を上回る必要がある |
| 瞬間最大出力 W | 短時間だけ対応できる出力 | モーター等の起動時に関係する |
| 入力 W | 本体を充電できる速さ・上限 | ソーラーパネルとの組み合わせに関係する |
たとえば容量1000Whでも、定格出力が家電の消費電力より低ければ、その家電は動かせません。また、ACコンセントから使う場合は変換ロスがあるため、表示容量をすべて使えるとは限りません。
家族3人・3日間の必要容量を計算する
基本の計算式
消費電力W × 使用時間h = 使用電力量Wh
次は、家族3人が停電中に最低限の機器を3日間使う例です。実際の消費電力は、必ず手元の製品の表示や取扱説明書で確認してください。
| 用途 | 計算例 | 3日分 |
|---|---|---|
| スマホ3台 | 1台15Wh × 3台 × 1回/日 | 約135Wh |
| LED照明 | 10W × 5時間/日 | 150Wh |
| 小型DC扇風機 | 20W × 8時間/日 | 480Wh |
| Wi-Fiルーター | 10W × 8時間/日 | 240Wh |
| 合計例 | 変換ロス・待機電力を除く | 約1005Wh |
この例では計算上約1005Whです。変換ロスや気温、経年劣化、予備分を考え、1000~1500Wh程度を検討範囲にします。通信設備側が停止している場合はWi-Fiルーターが使えないこともあります。
300Wh・500Wh・1000Wh以上の使い分け
スマホ・ライト・ラジオ中心。軽量だが長期停電には少ない
小型機器を増やしたい1~2人向けの候補
家族3人で照明・通信・小型扇風機を数日使う候補
冷蔵庫や高出力家電も検討。重量・価格・充電時間が増える
人数だけで容量は決まりません。夏に扇風機を長く使う家庭、冬に電気毛布を使う家庭、乳幼児や要配慮者がいる家庭では必要量が変わります。
使いたい家電の消費電力を確認する
東京電力の参考値では、DCモーター扇風機は5~20W、ACモーター扇風機は50W、450L冷蔵庫は250W、電子レンジは500~1500Wなど、家電によって大きく異なります。
- 使いやすい:スマホ、LED照明、USB扇風機、ラジオ
- 個別計算が必要:冷蔵庫、テレビ、電気毛布、炊飯器
- 大きな出力が必要:電子レンジ、電気ケトル、IH調理器、ドライヤー
- 特に慎重:医療機器、生命維持に関わる機器
医療機器はポータブル電源だけに頼らない:機器の製造元、医療機関、電力会社、自治体へ事前に相談し、必要なバックアップ方法と避難計画を確認してください。
持ち運べるソーラーパネルは必要?
長引く停電でポータブル電源を再充電できる可能性があるのが、折りたたみ式などの持ち運べるソーラーパネルです。コンセントが使えない状況でも、晴天時にスマホや照明用の電気を補えます。
一方で、公称100Wのパネルが常に100W発電するわけではありません。雲、太陽の角度、影、気温、設置方向などで発電量は下がります。雨天や夜間は充電できず、窓越しではガラスや角度の影響を受けます。

ソーラーパネルは100W・200Wのどちら?
| パネル | 向く用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| 100W級 | 持ち運びや収納性を優先、小~中容量電源の補充 | 大容量電源の満充電には時間がかかる |
| 200W級 | 1000Wh以上の電源を日中により多く補充したい | 大きさ・重量・風対策・入力上限を確認 |
簡易的な充電時間は「容量Wh ÷ 実際の入力W」で考えます。1000Whを実入力70Wで充電するなら理論上約14時間ですが、充電制御や天候でさらに時間がかかります。1日で満充電にする発想ではなく、日中に使った分の一部を戻す補助手段と考える方が現実的です。
ソーラーパネル購入前の接続確認
- ポータブル電源のソーラー入力電圧・電流・最大入力W
- パネル側の開放電圧・動作電圧・電流
- コネクターの形状と極性
- メーカーが案内する対応パネル
- 直列・並列接続の可否
- 必要な変換ケーブルが同梱されているか
コネクターが物理的に挿さっても、電圧や極性が合うとは限りません。仕様が分からない組み合わせや自己流の改造は避け、メーカーの対応表と説明書を優先します。
ポータブル電源の選び方|8項目
- 必要な使用電力量から容量Whを決める
- 使う家電に合う定格出力・瞬間最大出力を確認する
- AC・USB-C・DCなど必要な端子を確認する
- 本体の充電時間とソーラー入力上限を確認する
- 重量と家の中で運べるかを確認する
- 保証、修理窓口、回収・処分方法を確認する
- リコール情報を確認できるメーカー・販売事業者を選ぶ
- 高温・水濡れを避けられる保管場所を確保する
火災を防ぐ保管・使用方法

NITEはポータブル電源を含むリチウムイオン電池搭載製品について、高温となる場所で使用・保管しない、強い衝撃や圧力を加えない、異常時は使用を中止するなど注意を呼びかけています。
- 直射日光、高温の車内、暖房器具の近くへ置かない
- 雨、結露、床上浸水のおそれがある場所を避ける
- 吸排気口をふさがず、周囲に空間を確保する
- 落下や強い衝撃を与えない
- 膨らみ、異臭、異音、異常発熱があれば使用・充電を中止する
- リコール情報と取扱説明書を定期的に確認する
- 自治体やメーカーが案内する方法で処分する
平常時に試すこと
- 家族が本体を安全に運べるか
- スマホ・照明・扇風機を実際に接続できるか
- 家電の起動時に過負荷にならないか
- 残量表示がどの程度減るか
- ソーラーパネルを安全に広げ、固定できるか
- 充電ケーブルと変換プラグがそろっているか
- 半年ごとなど説明書に従って残量・動作を確認できるか
災害時に初めて箱を開けると、ケーブル不足や操作ミスに気づけません。普段の節電やアウトドアなどで無理のない範囲で使用し、状態を把握しておくと安心です。
FAQ|防災用ポータブル電源
家族3人なら1000Whで足りますか?
スマホ・照明・小型扇風機などに絞れば一つの候補ですが、使用時間と製品の消費電力で変わります。計算例では約1005Whのため、変換ロスと予備分を含め1000~1500Whを検討します。
冷蔵庫は何時間使えますか?
冷蔵庫は運転と停止を繰り返し、起動時の電力もあるため一律に計算できません。冷蔵庫の定格消費電力・年間消費電力量と、ポータブル電源メーカーの検証条件を確認してください。
電子レンジや電気ケトルは使えますか?
定格出力が家電の消費電力を上回り、起動時の負荷にも対応できれば使える場合があります。ただし短時間でも電池を大きく消費するため、カセットこんろなど電気を使わない調理手段も備えます。
ソーラーパネルは窓越しでも充電できますか?
発電する場合もありますが、ガラス、角度、影の影響で出力が下がります。メーカーの使用条件に従い、安全な屋外で直射日光を受けられる設置が基本です。
雨の日にソーラーパネルを使えますか?
防水性能は製品ごとに異なり、コネクターや本体は水に弱い場合があります。雨中で無理に設置せず、製品の防水等級と説明書を確認してください。ポータブル電源本体は必ず乾いた安全な場所に置きます。
充電したまま保管してよいですか?
推奨残量や充電頻度は製品ごとに異なります。取扱説明書の保管方法に従い、定期的に残量・動作・外観を確認してください。
まとめ|使う機器から容量を決める
- 必要容量は消費電力W×使用時間hで計算する
- 家族3人・3日間なら1000~1500Whが一つの検討目安
- 容量Whだけでなく定格出力Wも確認する
- ソーラーパネルは天候に左右される補助的な充電手段
- 100W・200Wは本体の入力上限と持ち運びやすさで選ぶ
- 高温・水濡れ・衝撃を避け、リコール情報を確認する
最初に、停電時に使いたい機器を紙へ書き出し、各機器の消費電力を確認しましょう。その合計に変換ロスと予備分を加えれば、家庭に必要なポータブル電源が具体的になります。
参考にした公的機関等の情報
- NITE「災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!」
- NITE「夏バテ(夏のバッテリー)にご注意」
- 東京電力エナジーパートナー「家電製品の消費電力について知りたい」
- 東京電力エナジーパートナー「主な電気機器のアンペアの目安」
情報確認日:2026年9月8日。実際の使用時は、ポータブル電源・ソーラーパネル・接続する家電の取扱説明書と最新のリコール情報を優先してください。
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