地震や台風のあと、自宅に大きな被害がなくても、電気・水道・ガスが止まることがあります。そんなとき、自宅で生活を続ける「在宅避難」を支えるのが家庭の備蓄です。
この記事の結論
在宅避難の備蓄は、最低3日分、できれば7日分を目安に準備します。
最初に数量を確認したいのは、次の3つです。
- 水:1人1日3L
- 食料:1人1日3食として計算
- 非常用トイレ:1人1日5回分
たとえば3人家族の7日分なら、水63L、食事63回分、非常用トイレ105回分が目安です。ただし、必要なのはこの3つだけではありません。調理手段、照明、電源、衛生用品、季節対策なども、家族の状況に合わせて備えます。
大切な前提:在宅避難は、自宅と周辺が安全な場合の選択肢です。倒壊、火災、浸水、土砂災害などの危険がある場合は、備蓄があっても安全な場所への避難を優先してください。
家族人数別|7日分の基本備蓄早見表
水・食料・非常用トイレの必要量は、家族の人数から計算できます。
| 家族人数 | 水(7日分) | 食事回数※ | 非常用トイレ |
|---|---|---|---|
| 1人 | 21L | 21食 | 35回分 |
| 2人 | 42L | 42食 | 70回分 |
| 3人 | 63L | 63食 | 105回分 |
| 4人 | 84L | 84食 | 140回分 |
| 5人 | 105L | 105食 | 175回分 |
※水は「1人1日3L×7日」、食事は「1日3食×7日」として当サイトで計算しています。「21食」は公的機関が定めた必要食数ではなく、備蓄を考えやすくするための計算上の目安です。非常用トイレは経済産業省が示す「1人35回分(7日分)」を使用しています。
水
飲料・調理用
食料
食べ慣れた食品
トイレ
便袋+凝固剤
調理
コンロ・ボンベ
照明
ランタン・電池
電源
充電手段
衛生
紙・袋・清拭用品
季節対策
暑さ・寒さ
在宅避難してよいかは「自宅の安全」で判断する
在宅避難とは、災害が起きたら必ず家に残るという意味ではありません。自宅に倒壊などのおそれがなく、周辺も安全で、生活を続けられる場合に自宅で避難生活を送る方法です。
在宅避難を始める前のチェック
- 建物に大きなひび、傾き、倒壊のおそれがない
- 自宅や周辺で火災が発生していない
- 浸水や土砂災害の危険がない
- 自治体から避難指示が出ていない
- 安全に使える部屋と避難経路を確保できる
危険を感じた場合は、ためらわず安全な場所へ移動してください。平常時にハザードマップを確認し、家具の転倒防止や避難経路の確保も進めておきましょう。
水は1人1日3L|4人家族なら7日分で84L
政府広報は、災害への備えとして水を1人1日3L、食品を最低3日から1週間分備えることが望ましいと案内しています。
7日分の水の計算式
3L × 家族人数 × 7日
4人家族:3L × 4人 × 7日 = 84L
84Lは、2Lペットボトルなら42本、6本入りケースなら7ケースです。かなりの量になるため、一度に買うのが大変なら、普段の買い物で少しずつ増やして構いません。
2Lと500mLを組み合わせると使いやすい
| サイズ | 向いている使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 2L | 家族で共有・調理 | 開封後の衛生管理が必要 |
| 500mL | 持ち歩き・個人用 | 本数と保管場所が増える |
すべてを長期保存水にする必要はありません。普段飲んでいるペットボトル水を多めに置き、古いものから使って買い足す方法でも備蓄できます。
詳しい計算はこちら
防災用の水は何リットル必要?家族人数別・3日分と7日分を計算 →
注意:1人1日3Lは、主に飲料水と調理用水の目安です。手洗い、体拭き、食器洗い、清掃などに使う生活用水は別に考えます。浴槽の残り湯があっても、飲料水の備蓄を減らす理由にはしないでください。
非常用トイレは1人1日5回|4人家族なら140回分
経済産業省は、成人の平均的な排泄回数を1日5回として、1人当たり35回分(7日分)の災害時用トイレを備蓄するよう案内しています。
7日分の非常用トイレの計算式
家族人数 × 5回 × 7日
4人家族:4人 × 5回 × 7日 = 140回分
水が出ても、地震で排水管が壊れていれば水洗トイレを使えないことがあります。家庭の洋式便器が壊れていない場合は、便器に便袋を取り付け、凝固剤などで排泄物を処理する携帯トイレが省スペースです。
地震直後は、すぐにトイレを流さない
特にマンションでは、排水管の損傷に気付かず上階から水を流すと、下の階で汚水があふれるおそれがあります。排水設備の安全が確認できるまでは水を流さず、携帯トイレを使用してください。
必要数と選び方はこちら
非常用トイレは何回分必要?家族人数別・7日分の備蓄量を計算 →
食料は「非常食だけ」で7日分揃えなくてよい
1日3食で計算すると、7日間では1人21回、4人家族では84回の食事機会があります。ただし、非常食を84個買う必要はありません。
米、パックご飯、乾麺、パン、シリアル
魚・肉・豆の缶詰、レトルト食品
野菜ジュース、乾物、即席みそ汁
菓子、栄養補助食品、果物缶
普段食べている食品を少し多めに買い、古いものから食べ、食べた分を補充するローリングストックなら、賞味期限切れを減らしながら備蓄を続けられます。
停電時は冷蔵庫・冷凍庫の食品、次に日持ちする普段の食品、最後に長期保存食という順番で使うと、食品を無駄にしにくくなります。乳幼児、高齢者、食物アレルギーがある人には、普段から食べ慣れている食品を別に準備してください。
カセットコンロ・照明・充電手段を用意する
電気やガスが止まると、IHコンロ、電子レンジ、電気ケトルなどが使えません。水や食品があっても、加熱できなければ食べられるものが限られます。
| 目的 | まず備えるもの | 必要に応じて追加 |
|---|---|---|
| 調理 | カセットコンロ、ボンベ、鍋、やかん | 保温容器 |
| 照明 | LEDランタン、懐中電灯、予備電池 | 人感センサーライト |
| 通信 | モバイルバッテリー、充電ケーブル | ラジオ、ポータブル電源 |
農林水産省は、カセットボンベについて1人1週間当たり約6本という例を示しています。ただし、実際の消費量はコンロの燃焼時間、火力、調理回数によって変わります。使用する製品の取扱説明書を確認し、自宅の使い方に合わせて計算してください。
ポータブル電源は、すべての家庭に必須ではありません。スマートフォンとLED照明の充電だけなら、複数のモバイルバッテリーで対応できる場合があります。扇風機、電気毛布、医療・介護機器などを動かしたい家庭は、必要な消費電力と使用時間を確認して検討します。
家族3人・3日間の容量計算とソーラーパネルの基礎防災にポータブル電源は必要?容量と選び方を詳しく解説 →
衛生用品・日用品・家族専用品も忘れない
在宅避難では、水・食料・トイレだけでなく、普段の生活で「なくなると困るもの」も必要です。
- トイレットペーパー
- ティッシュ
- ウェットティッシュ
- 体拭きシート
- 食品用ラップ
- 使い捨て食器
- ゴミ袋・防臭袋
- 歯磨き用品
- 生理用品
- 常備薬・処方薬
- 眼鏡・コンタクト用品
- マスク・手袋
乳幼児がいる家庭では、おむつ、ミルク、離乳食などを追加します。高齢者、持病がある人、介護が必要な人、ペットがいる家庭も、それぞれ専用の食品、薬、衛生用品を確認してください。
夏と冬では必要な備えが変わる
☀️ 夏の備え
- 電池式・充電式扇風機
- 冷却用品
- 帽子・日よけ
- 経口補水液等※
❄️ 冬の備え
- 毛布・寝袋
- 防寒着・厚手の靴下
- 使い捨てカイロ
- 断熱シート
※経口補水液は日常の水分補給用飲料ではありません。脱水時などの用途や摂取上の注意を製品表示で確認してください。
停電するとエアコンや電気暖房が使えない可能性があります。まずは電気を使わずに体温を調整できるものを準備し、必要に応じて電源機器を検討しましょう。
マンションと戸建てで変わる注意点
| 住まい | 特に確認したいこと | 平常時の対策 |
|---|---|---|
| マンション | 排水管、停電時の断水、エレベーター停止、水の運搬 | 水と携帯トイレを室内に備蓄し、管理組合のルールを確認 |
| 戸建て | 建物損傷、火災、浸水、土砂災害 | ハザードマップ、家具固定、避難経路を確認 |
マンションの高層階では、給水所から数十リットルの水を階段で運ぶのは容易ではありません。一方、戸建ても「家にいれば安全」とは限りません。住宅の種類だけで決めず、自宅がある場所と建物の状態から判断してください。
何から揃える?在宅避難ラボのおすすめ順
最初からすべてを完璧に揃える必要はありません。まだ備蓄が少ない家庭では、次の順で確認すると進めやすくなります。
- 1.水|家族人数×3L×日数を確保する
- 2.非常用トイレ|家族人数×5回×日数を確保する
- 3.食料|普段の食品からローリングストックを始める
- 4.調理手段|カセットコンロとボンベを確認する
- 5.照明・通信|ランタンと充電手段を用意する
- 6.衛生・個別用品|家族に必要なものを追加する
これは国が定めた公式ランキングではなく、在宅避難ラボが「飲水・排泄・食事・情報確保・生活維持」の順に整理したものです。
今日やることは、この3つで十分です
- 家族人数で水とトイレの必要量を計算する
- 自宅にある食品と日用品を数える
- 足りないものを、まず3日分まで補充する
在宅避難の備蓄チェックリスト
- □ 飲料・調理用の水を最低3日分、できれば7日分用意した
- □ 家族が食べ慣れた食品を人数分用意した
- □ 非常用トイレを家族人数×5回×日数分用意した
- □ カセットコンロと使用予定に応じたボンベがある
- □ LEDランタン、懐中電灯、予備電池がある
- □ スマートフォンの充電手段がある
- □ トイレットペーパー、ゴミ袋、防臭袋、清拭用品がある
- □ 常備薬、乳幼児用品、介護用品、ペット用品を確認した
- □ 夏または冬の停電対策を用意した
- □ ハザードマップと在宅避難の可否を確認した
FAQ|在宅避難の備蓄でよくある質問
備蓄は3日分で十分ですか?
最低3日分を確保し、可能なら7日分まで増やすのが基本です。収納や費用の問題で一度に揃えられない場合は、まず3日分を用意し、買い物のたびに少しずつ増やしましょう。
3人家族では水が何リットル必要ですか?
1人1日3Lで計算すると、3日分は27L、7日分は63Lです。これは主に飲料水と調理用水の目安で、手洗いや清掃などの生活用水は含みません。
4人家族の非常用トイレは何回分必要ですか?
1日5回×4人×7日で、140回分が7日分の目安です。100回セットだけでは40回分不足します。
防災リュックがあれば、在宅避難用の備蓄はいりませんか?
必要です。防災リュックは自宅から避難するときに持ち出すもので、重量と容量に限界があります。在宅避難用の備蓄は、自宅で数日から1週間生活するためのものです。
普通のペットボトル水でも備蓄できますか?
できます。普段飲む水を多めに置き、賞味期限が近いものから使って補充する方法も有効です。長期間交換したくない家庭は、メーカー表示を確認して長期保存水を選びます。
ポータブル電源は必ず必要ですか?
すべての家庭に必須ではありません。まず停電時に使いたい機器を決めます。スマートフォンやLED照明だけならモバイルバッテリーで足りる場合もあります。家電を使う場合は、消費電力と使用時間から必要容量を計算してください。
まとめ|まず水・トイレ・食料を人数分計算しよう
在宅避難の備蓄で最初に確認したいのは、家族全員が何日間生活できる量になっているかです。
- 水:1人1日3L
- 食料:1人1日3食を基準に家庭で計算
- 非常用トイレ:1人1日5回分
- 備蓄日数:最低3日分、できれば7日分
3人家族の7日分なら、水63L、食事63回分、非常用トイレ105回分。4人家族なら、水84L、食事84回分、非常用トイレ140回分です。
一度に完璧を目指す必要はありません。まず自宅にあるものを数え、足りないものを数字で把握し、普段の買い物の中で少しずつ増やしていきましょう。
情報確認日:2026年9月3日
主な出典
- 政府広報オンライン「災害に備えた家庭備蓄のポイント」
- 首相官邸「災害が起きる前にできること」
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(7)熱源を確保しよう」
- 経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」
- 東京都防災ホームページ「マンション防災」
本記事は、公的機関が公表している情報をもとに、一般家庭で備蓄量を考えやすいよう在宅避難ラボが整理したものです。住宅の被害状況や自治体からの避難情報を確認し、安全確保を最優先に行動してください。
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