真夏や真冬に停電すると、照明やスマートフォンの充電だけでなく、エアコンや電気暖房も止まります。特に乳幼児、高齢者、持病のある人がいる家庭では、室温の変化を我慢し続けるのは危険です。
この記事の結論
- 夏は日差しを遮り、風を通し、濡れタオルなどで体を冷やす
- 冬は一部屋に集まり、重ね着・毛布・寝袋で体温を逃がさない
- 自宅で安全な室温を保てないなら、冷暖房が使える安全な場所へ早めに移動する
- 携帯発電機は屋内・車内・テント内では絶対に使わない
- 避難するときは電気製品のプラグを抜き、ブレーカーを切る
この記事では、停電直後に確認すること、夏と冬の具体的な対策、備えておきたい用品、ポータブル電源を使う場合の考え方を順番に解説します。
停電したら最初に確認すること
まず、停電が自宅だけなのか、周辺一帯なのかを確認します。夜間は転倒を防ぐため、懐中電灯やLEDランタンを先に点灯してください。ろうそくは余震や転倒による火災のおそれがあるため、照明には電池式・充電式のライトが向いています。
- 家族の安全と体調を確認する
- スマートフォンの省電力モードを有効にする
- 電力会社・自治体・気象情報で停電範囲と復旧見込みを確認する
- 使っていた電気製品のスイッチを切り、必要に応じてプラグを抜く
- 室温を確認し、自宅で過ごせるか判断する
大規模災害では、建物の損傷や火災、浸水などによって在宅避難そのものが危険な場合があります。自宅の安全が確認できないときは、暑さ・寒さ対策より避難を優先してください。
夏の停電|エアコンが使えないときの暑さ対策

環境省は、故障や停電でエアコンが使えないときは、涼しい服装、風通し、水分補給、濡れタオルや水浴びによる冷却を案内しています。高齢者は熱中症による健康被害が多いため、本人が「大丈夫」と言っていても周囲がこまめに体調を確認しましょう。
日差しを遮り、熱を室内に入れない
直射日光が入る窓は、カーテン、すだれ、雨戸などで遮ります。朝のうちに対策すると、室温の上昇を抑えやすくなります。ただし、窓を閉め切ると熱がこもる場合があります。防犯や周囲の安全を確認し、風が通るように対角線上の窓やドアを開けてください。
体を直接冷やす
- 濡らしたタオルを首、わきの下、脚の付け根などに当てる
- うちわや扇子で風を送る
- 水道が使える場合は、シャワーや水浴びを利用する
- 冷凍しておいたペットボトルや保冷剤を布で包んで使う
- 充電式・電池式扇風機を使う
保冷剤や凍ったペットボトルを肌へ直接長時間当てると、低温やけどのおそれがあります。必ず布などで包み、同じ場所に当て続けないでください。
のどが渇く前に水分をとる
のどの渇きを感じていなくても、少量ずつこまめに水分をとります。大量に汗をかいた場合は、食事や経口補水液などで塩分も補います。持病などで水分・塩分の制限を受けている人は、平常時から医師に災害時の対応を確認しておきましょう。
自宅にとどまることだけが在宅避難ではありません
室温が上がり続ける、家族の体調が悪い、復旧の見込みが立たない場合は、冷房が使える避難所、公共施設、親族宅などへ早めに移動してください。車内は短時間で高温になりやすいため、車を避難場所代わりにするのは避けます。
熱中症が疑われるとき
めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉痛、頭痛、吐き気、倦怠感などがある場合は、涼しい場所へ移し、衣服をゆるめて体を冷やします。意識がない、呼びかけへの反応がおかしい、自力で水を飲めない場合は、無理に飲ませず救急車を呼んでください。
停電時は「復旧するまで少しだけ」と我慢しがちです。しかし、復旧時刻が分からないまま室温が上がると、移動する判断が遅れます。温度計を置き、時刻と家族の様子を定期的に確認しましょう。
冬の停電|暖房が使えないときの寒さ対策

冬の停電では、まず電気を使わずに体温を守れる方法を組み合わせます。暖める範囲を家全体ではなく、人と一部屋に絞るのがポイントです。
一部屋に集まり、冷気を遮る
- 家族がなるべく小さな一部屋に集まる
- カーテンや雨戸を閉め、窓からの冷気を抑える
- ドアのすき間に丸めたタオルを置く
- 床にマット、段ボール、毛布などを敷く
- 濡れた衣服は早めに乾いたものへ着替える
重ね着で「空気の層」をつくる
厚手の服を1枚だけ着るより、肌着、長袖、フリース、上着などを重ね、衣服の間に空気の層をつくります。首、手首、足首、頭部を覆うと熱を逃がしにくくなります。厚手の靴下、帽子、手袋、ネックウォーマーも用意しておきましょう。
就寝時は寝袋や毛布を使い、家族同士で体調を確認します。乳幼児や高齢者は体温調節が難しいため、汗をかくほど包み込まず、顔色や呼吸、皮膚の冷たさなどをこまめに見てください。
温かい飲み物と食事を利用する
ガス設備に異常がなく、カセットコンロなどを安全に使用できる場合は、温かい飲み物や汁物が役立ちます。カセットコンロは暖房目的で使わず、調理中は換気し、燃えやすいものから離してください。製品の取扱説明書に従い、テントや車内などでは使いません。
燃焼式暖房器具と発電機は一酸化炭素に注意

携帯発電機は屋内で絶対に使用しない
NITEは、携帯発電機の排ガスに一酸化炭素などの有害物質が含まれるため、屋内や換気の悪い物置、倉庫、車内、テント内などでは絶対に使用しないよう注意喚起しています。
屋外でも窓や給気口の近くを避け、風向きを確認し、排ガスが室内へ入らない位置で使用します。雨天時は感電や漏電にも注意し、取扱説明書を守ってください。
石油ストーブなど燃料を燃やす暖房器具にも、火災や一酸化炭素中毒の危険があります。「停電中だから特別な使い方をする」のではなく、製品が指定する燃料・設置場所・換気方法を守り、就寝中は使用しないなど取扱説明書に従ってください。
復電時の通電火災を防ぐ
地震などで停電したあと、倒れた電気ストーブや損傷した配線へ再び電気が流れると、火災が起こることがあります。これを通電火災といいます。
避難するときは、使用中だった電気製品のスイッチを切り、プラグを抜き、可能であればブレーカーを切ります。復電後は、電気製品や配線に破損、水濡れ、焦げたにおいなどがないことを確認してから使用してください。異常があれば使用せず、電力会社や専門業者へ相談します。
ポータブル電源で冷暖房はどこまで使える?
ポータブル電源は、スマートフォン、LED照明、充電式扇風機、電気毛布などの電源確保に役立ちます。しかし、家庭用エアコンや電気ヒーターは消費電力が大きく、機種によっては動かせなかったり、短時間で電池を使い切ったりします。
選ぶときは、容量だけでなく、家電を起動できる定格出力、使用時間、充電方法を確認してください。使用時間の概算は次の式で考えられます。
使用時間の目安 = 実際に使える容量(Wh)÷ 家電の消費電力(W)
変換ロスや温度、バッテリーの状態などで実際の時間は短くなるため、計算結果は目安です。高出力家電を長時間動かすより、夏は小型扇風機、冬は電気毛布など、消費電力の小さい機器を必要な時間だけ使う方が現実的です。
停電に備えて用意したいもの

一年を通して必要なもの
- LEDランタン、懐中電灯、予備電池
- モバイルバッテリー、充電ケーブル
- 携帯ラジオ
- 飲料水とすぐ食べられる食品
- 常用薬、体温計、必要な医療用品
- 現金、連絡先を記した紙
夏に追加したいもの
- 充電式・電池式扇風機
- うちわ、扇子
- 保冷剤、凍らせたペットボトル
- 冷却用タオル
- 日差しを遮るカーテン、すだれ
- 経口補水液など家族の状態に合わせた飲料
冬に追加したいもの
- 防寒着、帽子、手袋、厚手の靴下
- 毛布、寝袋、断熱マット
- 使い捨てカイロ
- 保温ボトル
- 安全に使用できる調理器具と燃料
家庭別に決めておきたい避難の基準
「何度になったら必ず避難」という一律の数字だけで判断するのではなく、家族の年齢、健康状態、停電の長さ、外の天候、移動手段を合わせて考えます。
| 状況 | 早めの移動を考える例 |
|---|---|
| 夏 | 室温が上がり続ける、風がない、水が少ない、体調不良がある |
| 冬 | 濡れている、十分な防寒具がない、強い震えや反応の鈍さがある |
| 共通 | 乳幼児、高齢者、持病のある人、医療機器を使う人がいる/復旧見込みが不明 |
避難先は災害が起きてから探すのではなく、平常時に自治体の指定避難所、冷暖房が使える公共施設、親族宅などを確認しておきましょう。停電時にも確認できるよう、住所と連絡先を紙に控えておくと安心です。
FAQ
夏の停電では窓を開ければ大丈夫ですか?
窓を開けても外気温が高く風が弱い場合は、十分に冷えません。日差しを遮り、体を直接冷やし、水分をとってください。安全な室温を保てない場合は、冷房が使える場所へ移動します。
停電時に車のエアコンで過ごしてもよいですか?
環境省は、車内は短時間で気温が上昇しやすいため、可能な限り車内への避難を避け、冷房設備が稼働している場所へ移動することを勧めています。また、積雪時のアイドリングは排気ガスによる一酸化炭素中毒の危険もあります。
カセットコンロで部屋を暖めてもよいですか?
暖房目的では使用しません。火災や一酸化炭素中毒のおそれがあります。カセットコンロは取扱説明書に従って調理に使い、換気してください。
ポータブル電源があればエアコンを使えますか?
製品とエアコンの組み合わせによります。定格出力が足りない場合は起動できず、動かせても消費電力が大きいため長時間の運転は難しいことがあります。使用する機器の仕様を確認し、必要容量を計算してください。
停電が復旧したらすぐ家電を使ってよいですか?
地震や浸水を伴う停電では、配線や家電の破損・水濡れを確認します。焦げたにおい、異音、発熱などがあれば使用せず、電力会社や専門業者へ相談してください。
まとめ|室温を我慢せず、早めに移動できる準備を
- 夏は遮熱・通風・水分補給・体の冷却を組み合わせる
- 冬は一部屋に集まり、重ね着と寝具で体温を守る
- 家族の体調と室温を定期的に確認する
- 自宅で安全に過ごせない場合は冷暖房が使える場所へ移動する
- 携帯発電機は屋内で絶対に使わない
- 避難時はプラグを抜き、ブレーカーを切って通電火災を防ぐ
まずは、自宅にあるライト、モバイルバッテリー、夏用・冬用の用品を一度並べてください。そのうえで「家族全員が一晩を安全に過ごせるか」を確認し、不足するものを少しずつ補いましょう。
情報確認日:2026年9月9日
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