豪雨で道路が冠水し、車が動かなくなったらどうすればよいのでしょうか。水が深くなってからではドアが水圧で開きにくくなり、電気系統の停止でパワーウインドウも動かなくなる可能性があります。最も大切なのは、冠水路へ入らず、危険を感じた段階で引き返すことです。
この記事の結論
- 車が動くうちに冠水路から離れ、安全な高い場所へ移動する
- 停止したら、まずシートベルトを外し、ドア・窓が開くか試す
- 窓が開かなければ、破砕可能な側面窓を専用ハンマーで割る
- フロントガラスと一部の側面窓は合わせガラスで、ハンマーでは割れない
- ハンマーは運転席から手が届く場所へ固定しておく

冠水路へ進入しない:濁った水では水深、段差、開いたマンホールが見えません。SUV、4WD、電気自動車でも安全とは限らないため、浅く見えても迂回してください。
車が水没したときの脱出手順
国土交通省とJAFの案内をもとに、行動の順番を整理します。水位や車両の状態は急速に変わるため、可能な操作からすぐに試してください。
1.車が動くなら冠水場所から離れる
冠水に気づいた段階で、無理に進まず引き返します。アンダーパス、川沿い、地下道、低地には進入しないでください。すでに車内へ水が入り始めた場合は、車を守ることより人の脱出を優先します。
2.シートベルトを外し、ドアを開ける
車が停止したら、落ち着いて自分と同乗者のシートベルトを外し、ドアのロックを解除します。水位が低くドアが開くうちなら、すぐに車外へ出ます。
3.ドアが開かなければ窓を開ける
水圧でドアが開かない場合は、パワーウインドウが動くうちに側面窓を開けます。窓から出た後は車の屋根などにつかまり、安全な場所へ移動します。流れが強い場所では無理な移動を避け、救助を求めてください。
4.窓が開かなければ専用ハンマーを使う
電気系統が止まって窓が開かない場合は、脱出用ハンマーで破砕可能な側面窓を割ります。説明書に従い、窓の中央よりも端や角付近を狙います。割れた後は残ったガラスに注意し、衣服などで体を守りながら脱出します。
5.ハンマーがなく、窓も開かない場合
車内へ水が入り、車内外の水位差が小さくなるとドアにかかる水圧が下がり、開けられる場合があります。大きく息を吸い、足なども使ってドアを押し開けます。これは最後の手段であり、窓が開く段階での早い脱出が基本です。
脱出用ハンマーで割れない窓がある

フロントガラスは、2枚のガラスを中間膜で接着した合わせガラスです。ひびが入っても崩れにくいため、一般的な脱出用ハンマーでは破れません。
多くの車では側面窓に強化ガラスが使われていますが、一部の車種は側面窓やリアガラスにも合わせガラスを採用しています。購入店、取扱説明書、窓ガラスの表示で、事前に「どの窓を割れるか」を確認してください。
| 窓 | 一般的な構造 | ハンマー |
|---|---|---|
| フロントガラス | 合わせガラス | 割れない |
| 側面窓 | 強化ガラスが多いが、合わせガラスもある | 車両ごとに確認 |
| リアガラス | 車両により異なる | 車両ごとに確認 |
車用脱出ハンマーの選び方
- 窓破砕機能:先端が硬く、少ない動作で強化ガラスを割れるもの
- シートベルトカッター:ベルトが外れない場合に切断できるもの
- 固定ホルダー:急停止や横転でも飛ばず、定位置へ固定できるもの
- 握りやすさ:濡れた手でも握りやすく、家族も扱える大きさ
- 信頼できる表示:JISマーク、GSマーク、販売店推奨品などを確認する
スマートフォン、鍵、傘、ヘッドレストなどを代用品として当てにしないでください。JAFのテストでも、車内にある身近な物では窓を割れないケースがあります。
ハンマーは「手が届き、飛ばない場所」へ固定する

グローブボックスの奥、トランク、シート下へ置くだけでは、浸水時に取り出せない可能性があります。運転席に座り、シートベルトを着けた状態でも手が届く場所へ、付属ホルダーなどで固定します。
- センターコンソール側面など、運転席から届く位置
- 衝突や急ブレーキでも外れない固定方法
- 運転操作やエアバッグ展開を妨げない場所
- 助手席や後席の家族も保管場所を知っている
子どもや高齢者と乗っている場合
同乗者がいると、ベルトを外す順序や窓から出す方法で迷いやすくなります。平常時に「大人が自分のベルトを外す→子どものベルトを外す→窓を開ける→子どもを先に外へ出す」という流れを家族で確認しておきましょう。
チャイルドシートのバックル操作、後席のチャイルドロック、ハンマーの保管位置も確認します。状況によって最適な順序は変わるため、無理に荷物を持ち出さず、人の脱出を最優先してください。
水没した車には戻らない・自分で始動しない
脱出後は流された車や浸水車へ戻らず、警察・消防などへ連絡します。浸水した車は、外見上問題がなくても電気系統のショートや火災の危険があります。自己判断でエンジンや電源を入れず、販売店や整備事業者、保険会社へ相談してください。
車の水害対策チェックリスト
- □ 冠水しやすいアンダーパスと低地を把握した
- □ 豪雨時の迂回路を決めた
- □ 車のどの窓が強化ガラスか確認した
- □ 脱出用ハンマーにシートベルトカッターがある
- □ ハンマーを運転席から届く位置へ固定した
- □ 家族全員が保管場所を知っている
- □ 子どものベルト・チャイルドシートを素早く外せる
- □ 水没時の脱出順を家族で確認した
大雨が始まる前の家庭対策と避難判断線状降水帯が発生したらどうする?家庭でできる水害対策 →
FAQ|車の水没と脱出用ハンマー
水深何cmまでなら走れますか?
一律に安全といえる水深はありません。濁った水では深さや路面が分からず、流れ、段差、マンホールなどの危険もあります。浅く見えても冠水路へ入らず、引き返してください。
フロントガラスはハンマーで割れますか?
割れません。フロントガラスは合わせガラスです。側面窓にも合わせガラスを使用する車種があるため、破砕できる窓を事前に確認してください。
ヘッドレストで窓を割れますか?
車種や構造によっては取り外せず、確実な方法ではありません。専用の脱出用ハンマーを用意してください。
ハンマーはグローブボックスでよいですか?
奥に入り込んだり、水圧や姿勢の変化で開けられなかったりする可能性があります。運転席からすぐ届く位置へ固定する方が安全です。
電気自動車なら冠水路を走れますか?
安全ではありません。走行できた試験例があっても、警告灯やシステム故障などが生じています。車種を問わず冠水路へ進入しないでください。
まとめ|道具より先に「冠水路へ入らない」
- 冠水路、アンダーパス、低地へ進入しない
- 水没時はシートベルト、ドア、窓、ハンマーの順に行動する
- 割るのは事前に確認した破砕可能な側面窓
- フロントガラスと一部の側面窓は割れない
- ハンマーは運転席から届く位置へ固定する
- 家族で脱出手順を練習しておく
参考にした情報
- 国土交通省「水没車両からの脱出手順と脱出用ハンマー搭載のお願い」
- 国土交通省「水深が床面を超えたら、もう危険!」
- JAF「自動車が水没したときの対処と脱出方法とは?」
- JAF「水没時、何を使えば窓が割れるのか?」
情報確認日:2026年9月7日。実際の状況では、警察・消防・道路管理者・自治体などの最新情報を優先してください。
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