停電やガスの供給停止が続くと、普段使っているコンロや電子レンジで調理できないことがあります。そんなとき、カセットコンロとカセットボンベがあれば、レトルト食品の湯せんやお湯を沸かすことができます。
では、在宅避難に備えてカセットボンベを何本用意すればよいのでしょうか。
結論からいうと、農林水産省が示す目安は1人1週間当たり約6本です。家族3人なら7日分で約18本が目安になります。
ただし、必要本数は人数だけでなく、気温、火力、調理時間、献立によって大きく変わります。本記事では、公的機関などの情報をもとに、家族人数別の備蓄量と本数を減らす工夫、安全な保管方法を分かりやすく整理します。
カセットボンベの備蓄目安は1人1週間で約6本
農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、1人・1週間当たり約6本のカセットボンベが必要としています。
この目安を人数別に計算すると、次のとおりです。
| 家族人数 | 3日分の目安 | 7日分の目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 約3本 | 約6本 |
| 2人 | 約6本 | 約12本 |
| 3人 | 約8本 | 約18本 |
| 4人 | 約11本 | 約24本 |

※3日分は「1人1週間約6本」を日数で按分し、小数点以下を切り上げた計算例です。実際の使用量は献立や気温などで変わります。
家族3人の場合、まずは18本を7日分の保守的な基準として考えると分かりやすいでしょう。いきなり18本をそろえるのが難しければ、最低3日分に相当する8本程度から始め、少しずつ増やす方法もあります。水・食料・非常用トイレを含む全体量は、在宅避難に必要なものは?家族人数別・7日分の備蓄リストで確認できます。
「4人で約5本」という試算もあるのはなぜ?
東京ガス都市生活研究所は、4人家族が災害時を想定した献立を1日3食、1週間調理した場合、必要なカセットボンベは約4.6本だったという実験結果を公表しています。
農林水産省の「1人1週間約6本」と比べると大きな差がありますが、どちらかが間違っているわけではありません。想定している献立、調理時間、使用する鍋、気温などの条件が異なるためです。
例えば、次のような使い方ではガスの消費量が増えます。
- 毎食、長時間の煮炊きをする
- 冬場に冷たい水から何度もお湯を沸かす
- 家族それぞれ別の時間に調理する
- 加熱が必要な食品を多く備蓄している
- 強火のまま使い続ける
反対に、レトルト食品の湯せんをまとめて行う、余熱を使う、そのまま食べられる食品を組み合わせると消費量を抑えられます。
在宅避難ラボでは、少ない条件だけを前提にせず、まず公的資料の18本を家族3人の基準にして、家庭の備蓄食と調理方法に合わせて調整する考え方をおすすめします。
カセットボンベ1本は何分使える?
一般的なカセットボンベは内容量が約250gですが、連続燃焼時間はカセットコンロの機種や火力によって異なります。
最大火力で使えば消費は早く、弱火や中火なら長く使えます。また、気温が低い環境では火力が弱くなることがあります。そのため「1本で必ず何分使える」と一律には決められません。
正確に把握したい場合は、使用するカセットコンロの取扱説明書やメーカーの商品ページで「ガス消費量」と「連続燃焼時間」を確認してください。
家族3人・7日分を計算する方法
必要本数は、次の順番で考えると過不足を減らせます。
1. 7日分の献立を大まかに決める
まず、備蓄している食品を次の3種類に分けます。
- 加熱しなくても食べられるもの
- お湯を注ぐだけのもの
- 湯せんや煮炊きが必要なもの
缶詰、栄養補助食品、常温保存できるパンなどを組み合わせれば、すべての食事で火を使う必要はありません。
2. 1日に火を使う回数を決める
朝・昼・晩に毎回調理するより、昼にまとめてお湯を沸かし、保温ボトルを活用すると使用時間を減らせます。
3. 実際のコンロで一度試す
普段の防災訓練や鍋料理でカセットコンロを使用し、ボンベ1本でどの程度使えるか確認します。実測した時間をもとに、自宅の献立に必要な本数を見直すと現実的です。
カセットボンベを節約する7つの方法
- 加熱不要の食品も備蓄する
- 複数のレトルト食品を一つの鍋でまとめて温める
- 鍋にふたをして熱を逃がさない
- 沸騰後は火力を弱める
- 保温ボトルや保温調理を活用する
- 家族分を別々に作らずまとめて調理する
- 冷たい水だけでなく、常温で保管した水を使う
ただし、食品の加熱方法はパッケージ表示に従ってください。レトルト食品を袋のまま温める場合も、メーカーが指定する方法を確認しましょう。
カセットコンロを安全に使うための注意点
災害時はいつもと異なる環境で調理するため、事故を防ぐルールを家族で共有しておくことが重要です。
大きすぎる鍋や鉄板を使わない
鍋底がカセットボンベの収納部分を覆うと、ボンベが加熱されて破裂する危険があります。コンロの取扱説明書で使用できる鍋の大きさを確認してください。
カセットコンロを2台並べて使わない
2台を近づけたり、上に大きな鉄板を載せたりすると、互いの熱でボンベが過熱されるおそれがあります。
車内やテント内など密閉された場所で使わない
カセットコンロは屋内用であっても換気が必要です。車内やテントなど狭く密閉された場所では、一酸化炭素中毒や火災につながる危険があります。
指定されたカセットボンベを使う
カセットコンロとボンベの組み合わせは、取扱説明書に従います。取り付けたあとにガス漏れの音や臭いがないことも確認してください。
使用中はその場を離れない
地震の揺れや余震、周囲の可燃物にも注意し、使用中は必ず大人が見守ります。子どもだけで操作させないようにしましょう。
使用期限と保管場所も確認しよう
日本ガス石油機器工業会は、製造からの目安として、カセットボンベは約7年、カセットコンロは約10年と案内しています。ただし、保管状況や製品の状態によって使用できる期間は変わります。
カセットボンベは次のような場所を避けて保管します。
- 直射日光が当たる場所
- 車内など高温になる場所
- 火気や暖房器具の近く
- 湿気が多く、缶がさびやすい場所
- 子どもの手が届く場所
缶にさび、変形、著しい傷がある場合は使用せず、自治体のルールに従って処分してください。処分方法は地域によって異なるため、穴を開けるかどうかも自己判断せず自治体の案内を確認します。
ローリングストックなら期限切れを防ぎやすい
カセットボンベは、防災専用品としてしまい込むより、日常の鍋料理や屋外調理で使いながら買い足す方法が管理しやすくなります。
- 製造年月の古いボンベを手前に置く
- 日常で古いものから使う
- 使った本数を買い足す
- 年に1回、缶の状態とコンロの点火を確認する
家族3人で18本を備える場合は、3本パックを6組と考えると在庫を数えやすくなります。収納ケースに購入時期または製造年月を書いておくのもおすすめです。
よくある質問
家族3人なら本当に18本必要ですか?
18本は、農林水産省の「1人1週間約6本」を家族3人に当てはめた保守的な目安です。加熱不要の食品が多い家庭では、実際の使用量が少なくなる可能性があります。一方、冬場や長時間調理する献立では多く必要になることがあります。
カセットボンベはメーカーが違っても使えますか?
安全のため、カセットコンロの取扱説明書で指定されたボンベを使用してください。非常時に初めて組み合わせを確認するのではなく、平常時に取り付けと点火を試しておきます。
古いカセットボンベは使えますか?
使用期限の目安だけで判断せず、製造年月と缶の状態を確認します。さび、変形、ガス漏れが疑われるものは使用しないでください。
まとめ
カセットボンベの備蓄量は、農林水産省の目安では1人1週間当たり約6本です。したがって、家族3人・7日分なら約18本が一つの基準になります。
ただし、実際の消費量は献立、気温、火力、調理時間によって変わります。まず3日分の8本程度を用意し、最終的に18本を目標に増やしながら、加熱不要の食品や保温調理も組み合わせると安心です。
カセットボンベだけでなく、カセットコンロ本体が正常に点火するか、使用期限の目安を超えていないかも定期的に確認しておきましょう。
出典
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(2026年9月14日確認)
- 政府広報オンライン「災害に備えた家庭備蓄のポイント」(2026年9月14日確認)
- 東京ガス「4人家族が1週間の食事に必要なカセットボンベは約5本」(2026年9月14日確認)
- 日本ガス石油機器工業会(2026年9月14日確認)
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